さきのにっき

みどりの人

「窮鼠はチーズの夢を見る」ー主に大倉忠義さんの感想ー

まずはじめに

あくまでも、大倉くんのファン目線の感想文になっておりますことを、予めご了承ください。

その上で、大倉くんの演技のお仕事を堪能しつつも、作品内の人間関係を考察しながら、楽しませていただいたおもいを綴りました(*´꒳`*)

 

改めて!

生々しい人間味溢れる役を演じる大倉くんを観ることができて、うれしかったです。

 

大倉くん演じる恭一は、

自分に向けられた好意に敏感に気付き、自分のテリトリーを、その人たち中心に構成する人。

人の好意に対して受け身の姿勢。

その中で、マウンティングをして、その時々で誰が1番自分にとって都合がいいかを見極める嗅覚が強いひと。

 

 

そしてそんな恭一が、成田くん演じる今ヶ瀬と出会って、少しずつ変わっていく。

自分の中の【例外】の存在に気付いていき、【例外】な気持ちと初めて真剣に向き合うようになる。

 

人間同士の根底の愛というか、恋愛感情の概念的なものをメインテーマとして大きく感じました。

 

 

大倉くんは、2017年に上演していた「蜘蛛女のキス」でも、【極限状態で気付く人間愛の尊さ】的なテーマに、挑戦していました。

 

舞台で培った経験を活かして、より深みを増す演技をしている大倉くんに、時折ヴァレンティンを投影していました(ただただヴァレンティンロス)

 

これまでの演技のお仕事で、役に入り込んで経験した感情と

大倉くん自身の喪失体験や経験値などが相まって、大倉くんにしか出せない悲哀感や虚無感をかんじることができて、とても清々しかったです。

ひとつひとつ言葉で解説されなくても、表現された空気感で観る側の感受性により各々咀嚼する…なにか美しい芸術品を鑑賞しにいったかのような気持ちにもなりました。

 

長瀬くんが言っていたという「俺たちはうまく言葉にできないから演技という手段で表現してる」その言葉に憧れていて、そう言える演技をしたいと、大倉くんは話していたけど、

まさに今作も、それに該当すると胸を張ってお伝えしたいです。

(また演技のお仕事でも共演してほしいです。永遠の舎弟・太郎さんとジェームス。)

 

 

 

さっそく、前半で恭一をとりまく女たちについて。

 

・元妻

流れで結婚したものの愛がない。妻にも、愛がないことが伝わってしまっている。

浮気相手と過ごしたあとに、今ヶ瀬にも…されたあと()、

家に帰って妻の入浴中に「俺も入ろうかな」と言って扉を開けるも、身体を隠されて拒否られる恭一。

拒絶されて、萎える顔がたまらない←

「あぁもうこいつ俺に抱かれたくないんかな、まあ俺も別に他所で済ませてるけどな」みたいな(最低)(あんたが撒いた種やろw)

 

浮気を疑っているからこそ穢らわしいという意味での拒否かと思いきや、実は妻もほかに付き合っている男性がいた。

浮気を勘づかれないよう、服を買ってあげて、個室のある高そうな中華でご飯を奢る、なんとも安直な尽くし方をする恭一。

狡猾なのかおばかさんなのかわからない(褒めてる)

わかりやすすぎてもはやある意味推せる(笑)

 

エビチリをもぐもぐする恭一がかわいいことは言うまでもないので割愛しようかと思ったけどやはり特筆します←

 

エビチリ食べながら泣き出す嫁の元に駆け寄る恭一。

自分の意志がなく、他人に決断を委ねる恭一に気持ち悪さを覚える嫁。

 

「信じてるから」と心にもないことを嫁に告げ、「信じてるから!?」と嫁にわなわな復唱されたあとの恭一たんのお顔、キョトンとしすぎて、わたしが嫁なら、あのおばか面が憎めなさすぎて秒速の復縁する←

 

ここで嫁の浮気を知るけど、大してダメージを受けた顔をしない恭一。

取り繕う表情のあと、事実を知って一転、虚無の顔になる演技がすごく好きだった。

人が、ピンチからドン引きの顔に移り変わる時って俯瞰でみたらああいう表情になるんだなって(笑)

 

 

・浮気相手

いわゆるセフレ。しかもまた、取引先の会社の女性という、手近なテリトリーに居るひと。

自分に好意を向けられたので、その好意に乗じて求められるがままに抱いたまでの相手。

気持ちよくなりたいときだけすがりたいひと。

 

またねー、ゆるめの部屋着でわかりやすく誘惑するタイプの女で、その誘惑にわかりやすく引っかかって誘われるがまま需要に応えちゃう恭一が、本能に忠実(笑)

 

ことを済ませて、家に帰ろうとしてるときに今ヶ瀬に会うシーンで、

「いま別れ話したら彼女も傷つくだろ?別れ方って、あると思うんだ!」と、クッソ自己都合のエゴ極まりない理論をかましてくるんだけど、

シンプルに、都合いいセフレをキープしときたいだけでしょ?と心の中で全力ツッコミしました(笑)

 

 

 

・学生時代の元カノ

婚活に食い気味系の元カノ。街で再会したのを機にガツガツと恭一に擦り寄る。それは、打てば靡くと知っているから。

そして、学生時代に既に今ヶ瀬が恭一を好きだったことを知っている人物。

バチボコに牽制し合う2人(笑)

 

彼女は、恭一が自分ではなく今ヶ瀬のことを気になってると察して、早々とドン引きし、「本気で人を好きになったことある?」の捨て台詞を吐き、風のように去る女。

 

 

元妻、浮気相手、学生時代の元カノ

この3人は、恭一を嗜んでいる1枚うわてな印象。恭一の意志が弱いゆえに、押し切ったら自軍に傾くだろうという勝算ありきで転がす人たちというか。

そして、ダメならダメで、「はい、つぎ行ってみよー!」の切り替えが早めの。

靡かないのならば、恭一じゃなくてもいい。

 

誰でもいい人→自ずと誰でもいい人が寄ってくる確率が高いという、あるある感。

あなたも誰でもいいかもしれないけれど、わたしもあなたにこだわりないのよ?

というような。

 

それに対して、数年前から恭一を思い続け、どうにかこうにか、あの手この手で、自分のものにしたくて必死にもがく今ヶ瀬。

恭一じゃなければならない。

 

“あなたしかいない。あなたしかいらない”

が、滲み出ている依存具合。

 

独りよがりで、溺れる恋。

自分の持つ引き出し全てを駆使して、少しでも振り向かせたい、記憶に残りたい。

恭一の心の中を、自分一色に染めたい。

 

かたや、相手の中における自分の占有率が高い人を見抜く力に長けてる恭一。

今ヶ瀬が、ズブズブに自分の沼の中にいることを把握するのも早い。

 

有無を言わさずホテルに連れ込まれ、されるがままにキスをされる恭一。

最初は、キスをされたあとに帰宅後念入りに歯ブラシをするほど受け入れ難い体制だったくせに、次に呼ばれた時には、まさかの、恭一のきょぉぃちを狙われ、抵抗しないという(笑)

 

なんなんでしょうね…

きもちいいことに抗えないんですかね?恭一さんて(自重しなさすぎてごめんなさい)

 

ちなみにここのシーンで、

「おまえ、タバコくさぁいぃッ(˘・з・˘)」

って、キスをする前にひとこと拒むんですけど、キスしてほしい人の甘えにしか聞こえないんですが??そりゃ今ヶ瀬も火がつくわ←

 

1度きょぉぃちが狙われてからというもの、天丼してくるんですけど、なんかもうだんだん、「やめろよ」が、押すなよ〜押すなよ〜のフリにしか聞こえないんですよね。

 

2度目の狙撃()が、ゆるめのスウェット着て頭ボサボサの、起きしな恭一さんに、お部屋に入らせてもらえてから台所で料理してる途中で…なんですけど、

絶妙に隙だらけ!!!!(拍手)

恭一さんの隙を表すにふさわしすぎるシチュエーションでは??

 

回を重ねるごとに「やめろよ」がますますフリになる。

上島竜兵さんばりのフリ上手←

 

だんだんと恭一さんの新居に住み着いていく今ヶ瀬。

普通のありがちなラブストーリーなら、段々と心が通って…と素直に捉えるんですけど、

恭一さんの場合、惹かれた最初のとっかかりは、

他の取り巻きの女性たちよりも、今ヶ瀬の奉仕が1番興味そそられたんじゃないの?と、身体的感度を第一のメーターとしているのではないかと疑念を抱きながらみてしまってごめんなさい(笑)

 

あと、

“こいつが現時点のマウンティングで、俺のこと1番ズブズブに惚れてるし、奉仕もわるないですし、おすし…”  的な?←

 

 

「キスして?」

「やだよ…」

「けち!」

で、突き放した直後、

 

「ぼく耳かきうまいですよ?」のトラップに対し、「え、いいの?」とすぐに乗っかって、今ヶ瀬のお膝に身体を委ねる恭一。

 

いや罪すぎ。隙ありすぎ。

膝の上にあのかわいいほっぺた乗ってて、あのかわいいうなじが目の前にあるのかとおもうと動揺しすぎて、気ぃ失いそうになるわ。

オフショットで、「耳きたないかもぉ〜」と照れてた大倉くん込みで愛おしいの極み。成田凌さん1秒でいいので代わってください←

 

「同窓会いくの?いい感じに人妻になった同級生に会えるかもよ?」と不安そうにきく今ヶ瀬に対し、

背中を向けて眠りながらも、「いかないよ」と安心させてくれる恭一。

嬉しくなって、スウェットをめくって背中にチューをする今ヶ瀬。(いやわかるけど)

「やめろよぉ〜…ダメだって!寝かせてよ」

と、またもフリにしか聞こえないセリフを吐くわけですが、それでもおもむろに恭一のうなじに顔を埋める今ヶ瀬(いやわかるけど※2度目)

 

余談ですが、大倉くんのうなじがアップになるたび、関ジャニ∞運命ホクロがかわいくてかわいくて仕方がなさすぎて勝手に、ぎゅーーーんなってました(語彙力皆無の擬音芸)

 

 

気晴らしに、まだ関係切れてなかった浮気相手を久々に抱いて帰ってきた恭一に対し、

 

「たべてきたんですね(女を)」

「え?うん、今日なに作ったの?」

 

(ダブルミーニングに気付かずご飯の方向でごまかすおバカな恭一)

 

「グラタン」

「美味しそう!ちょっと食べようかな」

「太りますよ」

 

(媚びり方が不自然なまでに動揺する恭一)

 

「風呂沸いてる?」

「さっき沸かしました」

「じゃあ風呂入ってこよっかな」

 

(下手くそなごまかし方したくせに、いたたまれない空気によりその場を去る恭一)

 

大倉さんは舞台挨拶で、

こんな下手な言い訳しなかったらいいのにとおもったと言ってたけど、

ドギマギする演技がやけにリアルだったと監督にいじられててふわふわと否定するのがかわいかったなぁ(笑)

たしかに、バレんようにもうちょっとうまいことやり過ごしそう←

 

 

髪の毛すりすり触られながら、恭一さんに餌付けできる権利獲得した今ヶ瀬強すぎでしょ。

あと恭一さんはマジで顔がかわいいことを自覚してほしい。そして自分のもぐもぐ顔が世界規模の選手権で上位に食い込むことも自覚してほしい。

そんな尻尾の振られ方されたらますます沼るわ。今ヶ瀬、掌でコロコロされて心中お察しする。モリーナ先輩と同じくらい同情してる。

 

酔い潰れた恭一を、元カノが下心ありありで連れて帰ってきたとき、

うちの夫を送ってくれてありがとうございますぅ〜なマウントを取りながら玄関を開ける今ヶ瀬(笑)

ドン引きするも、男に負けるわけがないと闘志を燃やす元カノ。

でも、どうしても恭一が良いから、惚れてるから、復縁したいという気持ちが先行してるわけではなく、あくまでも重きは自分のプライドなんですよね。ガチガチに滲み出てる(笑)

 

自分への矢印が大きめに向いてる人に傾きがちの恭一には、ベクトルが自分にさほど向いてない時点で、充分ドン引きできる要素だったんでしょうか(笑)

 

鍵どこにあるの?と聞かれ、

「ゎかんなぁぃッッ」と甘える恭一くん、もとい、大倉くんがあまりにもかわいくてかわいくて震えました。

酔っ払って尚、隙しかない恭一さんwww

そんなんだからすぐチューされるし、すぐ脱がされるし、すぐなめられるねん(いろんな意味で←)

 

元カノVS今ヶ瀬のバトル開催。

恭一が自分と同じビールを頼んだことでオソロアピールをかます今ヶ瀬。

今ヶ瀬の初体験話にカリカリする恭一。

今ヶ瀬と付き合うこと=ドブに落ちる

と表現する元カノ。

 

元カノに、早くどっちか選びなさいよと煽られ、

「俺はお前を選ぶわけにはいかないよ」と今ヶ瀬に伝えてしまう。

本当は心を今ヶ瀬に持っていかれているけれど、自分は女が好きなはずだと思い込みたいのでしょうか。

 

かといって、元カノのことを好きだなんて一言も言ってないんですけど、

とりま、バトル後にお持ち帰りされた恭一(笑)

 

「あいつ(今ヶ瀬)を悲しませたくないと思ってて」

「まさか、たたない言い訳のつもり?」

「(今ヶ瀬に)どうしてやったらいいかわからない」

「呆れた。帰るね。ねぇ、本気で人を好きになったことある?」

 

仮に、恭一が今ヶ瀬を好きだろうとそうでなかろうと、元カノががめつすぎて機能するもんもしなくなるだろう?と少し同情しました(笑)

 

 

元カノに会ったあとに帰宅した恭一に対し、

「抱いてください」「(いやなら)最初から拒否したらいいじゃないですか」「拒むならもう二度と触れません」と、隙をみせる恭一に、限界を迎えた今ヶ瀬。

 

このあと初めて今ヶ瀬を抱くのですが…

元カノを抱けなかったのは、今ヶ瀬が自分の心の中でなかなかの占有率だったと気づいた直後だったので、どんな心理状態だったんだろう。

 

興味本位?好奇心?

さっきは元カノ相手に、きょぉぃち機能しなかったけど()、今ヶ瀬に対しては機能するのか否か気になったのか。

「本気で人を好きになったことある?」と元カノに一喝されたあとだから、いま自分がいだいている今ヶ瀬へのモヤモヤした気持ちが、恋愛的な意味の【好き】なのかどうか、身体の反応で確かめたかったのだろうか。

 

翌朝、起きしなに「髪洗ってあげましょうか?」と、アフターケアを怠らない今ヶ瀬。

「1人で入らせて…」とフラフラしながら、おもむろに給水しに行く恭一(※まっぱ)

 

足を骨折してる時だったので、フラフラ歩いててるところが、演技ではなくガチで歩きづらいんだろうなと、心を痛めました(と、同時にかわいすぎるお尻に耐えきれず違う意味で心壊れそうでした←)

 

「誕生日、何か欲しいものある?言ってごらん?(顔最高に優しい)」と恭一にきかれ、

なにも言わず正面から恭一をギュッと抱きしめにいく今ヶ瀬。

もう手に入りましたと言わんばかりの満ち足りた顔をしながら、「北京ダック」をおねだり。

 

え?そんなのでいいの?的に、また大して真意に気付かずすっとぼけた態度の恭一かわいい(笑)

 

 

今ヶ瀬の生まれ年のワインをリサーチする恭一。

ただ、リサーチ先が、

オレのことかっこいいと思ってるやろと確信を持ってる会社の後輩の女・たまきちゃん。

 

この女もなかなか強くて(笑)

「彼女に(贈るん)ですか?」ときいて、彼女ではないよと返答をもらい、ワインをリサーチしながらも、

休日に仕事の一貫という名目でわざわざ会いにくる。チーズケーキの手土産を添えて。

 

次点の彼女候補への立候補というか。

現状2番手で良いのでマウンティングにそっと参加希望提出というか(笑)

 

そしてその待ち合わせ場所に、今ヶ瀬も居合わせるんですけど、

「どうも〜恭一くんがいつもお世話になってますぅ」とツレ感を出し、彼女が去った後に

「会社で会った時じゃだめだったんですか?あの女、チーズケーキどうするつもりだったんですかね?家に上がり込むつもりだったんじゃ?」などと牽制するのですが、嗅覚の感度がよすぎて(笑)

 

わたしもそう思うよ今ヶ瀬、あの女余裕で誘われたら家に上がる気で来てるよ、と加勢してあげたくなっちゃう(笑)

 

そして、アウターをわざわざ交換して誕生日に北京ダックを食べに街に出向くというマーキングっぷり。…今ヶ瀬、ほんと拗らせてるわ。ズブズブに(笑)

 

生まれ年のワインを貰って、もったいないから飲みたくないとゴネると「飲もうよ〜。来年またあげるから。それでいいでしょ?」と甘いセリフに飲み込まれて、幸せな絶頂だった今ヶ瀬に、新たなライバル候補登場で不穏な空気に。

 

拗ねる今ヶ瀬の肩を抱いて、北京ダックへの道を歩くのだけど、通りすがりの女性たちからの視線を気にする恭一。そしてそれを、気にする今ヶ瀬。

 

今この瞬間の幸せを噛み締める高揚感と、次点彼女候補みたいなのが現れた焦燥感を両方抱える中、

世間体としては、男を愛してることを本能的に隠したい恭一の反射的な挙動が、後者の感情を助長するかのような描写。

 

 

手繰り寄せては擦り抜けていくような、つかみどころのない、

流され最強顔面爆モテ侍・恭一

が相手なので気苦労が絶えないのも無理もない。

 

 

山形へ出張する今ヶ瀬。

外出中に他の女の元に行ってしまわないかヒヤヒヤしてる今ヶ瀬に対し、

「ラフランス買ってきてよ!」と呑気な恭一さん(笑)

 

そして今ヶ瀬選手、牽制の一手。

「ラフランスって、フォルムが女性の身体っぽいですよね」

 

いや、ラフランス食べたい理由が、女の身体投影してるからだとしたら恭一さんだいぶ変態よ?(笑)

今ヶ瀬の独占欲は底なしですよね。

 

 

「そろそろ本来の自分を取り戻して、女を抱きたいでしょ?」

 

不安ゆえに出たセリフでもあり、

「そんなことないよおまえだけでいいよ」待ちのセリフでもあるのかな。

 

そもそも女が好きな人を、自分の元のみに留めておくことへのプレッシャーや自信のなさも相まっていて。

 

自分の方だけを向いていて欲しいのに、好きになればなるほどコンプレックスへの懸念が大きくなり、

焦燥感に駆られて不安になる感情は、性別の差は関係なく共有しうるものではないかと思うんですよね。

 

その、自分のコンプレックスの対象が、他でもない、“性別”であることから、より辛さを想像させられてしまう。

 

恭一が吸うタバコになりたかったと喩える今ヶ瀬。

“あなたの指に挟まるタバコが羨ましかった。”

時が経てば燃えかすになろうとも、たとえいっときでも、恭一の側で燃え尽きることができる無機物になりたかった今ヶ瀬。

 

…もはや、拗らせ具合に突っ込むどころか、あまりの甲斐甲斐しさに、わたしまで苦しくなってきた。

 

 

それを受け「バカだねぇおまえは…」と言いながら、今ヶ瀬の吸っているタバコを奪い、久々にタバコを吸う恭一。

タバコを吸ってない方の手で頬を愛撫しながら。

いまはおまえを愛してるよとでも言いたそうに。

 

いや罪すぎほんまに。

メンヘラホイホイすぎ。沼化の主犯すぎ。

あなたが思ってる以上に、あなたの一挙手一投足で窒息するほど溺れさせられてますからその人(笑)

燃え尽きて消えてしまっても、あなたのそばにいたいと宣言する、刹那的儚さを含んだニュアンス、さほど汲み取ってないだろ!?と、恭一に喝を入れたくなってしまった(笑)

 

でもここの大倉くんの、愛おしいひとを慈しむ目線めちゃくちゃ優しくて良かったなぁ〜

とってつけたような演技の表情とかでなく、大倉くんから滲み出てる、慈しみ⭐︎スマイル。

 

 

そして、そんな今ヶ瀬の葛藤をよそに、

父親が亡くなって悲しんでいるたまきをほっとけない恭一。

恭一は、恋愛感情は無く可哀想だからという理由で側に居てあげてるだけだと弁明する。

一方今ヶ瀬は、可哀想だからといって、

抱き寄せてスーツにファンデーションがつくほど、頻繁に連絡のやり取りをするほど親密になる必要があるのか。もう自分ではなくてその女の方に気持ちがいっているのではないか。と嫉妬に狂っていく。

それを受けて、「だから!そんなんじゃないって!!」と怒鳴りつけてしまう恭一。

 

売り言葉に買い言葉で、

「あなたじゃダメだ。あなたも、ぼくじゃダメだし…」

と言い放つ今ヶ瀬。

 

「じゃあ終わりにしよう?」とあっさり聞いてくる恭一の頬を思わず殴り、直後座り込んで泣きじゃくる今ヶ瀬。

 

今ヶ瀬は、心とは裏腹なことを言って、相手の反応を試すクセがありますよね。

そうじゃないんだよ!待ちの。

ここで素直にならなかったら拗れるよね?みたいな絶妙なポイントで、あまのじゃくな一面出してくる(笑)

 

恭一のほうが、嘘をつくのが苦手というか、その時の感情に流されるまま、心も身体も素直というか。

脊髄反射のごとく思ったこと口に出すがゆえに事の次第が悪くなることもあるけど(笑)

悪気なくその場その場で感じたこと発出しがち。

 

そして、これまで通りの性癖(言い方w)に沿って、女を愛して、抱くことが理想であり、恭一の本来の姿であると、心のどこかで定義している今ヶ瀬。

 

幸せが長続きするはずもなく刹那的であることを自分の心に言い聞かせて、いざ終わりが来たときにダメージを最小限に抑えたかったのかな。

 

恭一は恭一で、今ヶ瀬に向き合ってるつもりなんだけど、自分の愛し方では今ヶ瀬の需要に応えきれないし、そんなにずっと苦しむぐらいなら別の男から100%需要に応えてもらいながら幸せに暮らすといいよ…的な、

また他人に丸投げするスタイルでこの場を脱却しようとして。

 

別れ話をするために海へと車を走らせる。

「次はもっと深く愛してくれる男にするといいよ」

「先輩は、家に上がり込んで、コトコト鍋を煮て待つような女がいいですよ」

 

お互い嫌いになったわけでもなく、お互いのために、相手の幸せを思い描きながら、未来について語る。

 

 

このあと、次点彼女エントリー済みのたまきちゃんと結婚を前提に付き合う恭一。

 

お泊りした翌朝、恭一のパーカー1枚着て、部屋の中を徘徊するたまき。

今ヶ瀬の特等席のハイチェアに、その姿で座るたまきを見ながらも、たまきの向こうに今ヶ瀬を恍惚と投影してたのではないかと思ってます(笑)

なんせ、抱いた後にたまきへの愛が深まってる風に見えないんですよね(笑)

 

大して好きでもない女を見つめる目の渇き方というか、虚無顔が生々しすぎてね。

大倉くんの生々しい表情のバリエーションがまた拡がってて、すごく興奮しました←

 

 

ただでさえ、次の女と寝てみて、しっくりきてない感を醸し出してるところに、前の恋人についてたまきが深掘りするから余計顕著に(笑)

 

灰皿をみて、

「タバコを吸うんですか?」

「前の人が置いていった。それだけは置かせてくれって。そんなことしなくても忘れるわけないのにさ」

「…タバコ吸う人だったんですね。大人の女性って感じなのかな?…どうして別れたんですか?」

「ずっと苦しそうだったからね。おれは幸せだったんだけど。勝手なんだよ、俺。」

「ごめんなさい…でもわたし、前の人と同じ失敗は繰り返したくないので!」

 

もう…直接的に宣告されてはないけど、

おまえは2番手だよ、前の恋人全然忘れられてないんだよ、誰も代替えになんてなれないんだよ。と言われたかのようなラリー(笑)

 

また、たまきちゃんも、入り口からそうですけど、2番手でも構わないから近付きたいスタイルですしね。そこを恭一に本能的に汲み取られちゃって…。

 

ただ、2番手でもいいと定義しながらも、

ゆうても最終的に自分が1位勝ち取れるでしょ!?という自信も所持してそうなタイプだな、そしてこういう人居るなぁ…と思いながらみてました(笑)

 

たまきちゃんの恭一への気持ちの高揚とは反比例に、ますます心と身体が今ヶ瀬を求めている恭一。

これまでの恋愛とは異なり、意思を持って他人を求めている自分にじわじわと気づいていく。

 

今ヶ瀬を探しにか、

他のゲイたちをみて自分がどう感じるのか試したかったのか、

行ってみて、やはり自分はストレートであるとハッキリと自覚させたかったのか、

ゲイのクラブへと足を運ぶ恭一。

 

おずおずと足を踏み入れるも、さまざまなゲイに絡まれ、そしてトイレ前でいちゃつくカップルをみて、たまらず店を飛び出してしまう。

道端で泣いちゃってたけど、あれは、

今ヶ瀬だけが例外であると心から思ったことと、そしてその例外のひとはもういなくなったと改めて感じたことによる虚無感による涙なのでしょうか。

 

 

そんな感情とは裏腹に、たまきと婚約が進んでしまう。

婚約指輪に浮かれるたまきとたまき母を、心ここにあらずのような、温度差にドン引きしたのうな、渇いた目で見つめる表情がまた生々しくて最高だった(笑)

 

そしてそんな中、自分を尾行してる今ヶ瀬に気付く恭一。

婚約を破断させようなんておもってない、身体の関係もいらない、たまに会うだけでいいから、そばに置いてくれませんかと申し出る今ヶ瀬。

「おまえはもういらないんだよ」とまた心にもないことを伝えてしまう恭一。

 

自分の本心に気付いた上で蓋をして、大して好きでもない女と結婚しようかと決意した矢先の本命登場により、ふいに本心とは逆のことばが口から出たのか。

あるいは、よりを戻したところで、今ヶ瀬が望むような愛し方を提供できる自信がないゆえに、幸せにしてやれないと判断し、心を鬼にしてわざと突き放したのか。

 

などと、憶測を重ねていたのですが、

次のカットから、しれっと婚約者に内緒で密会しているようなんですよね(笑)

 

たまきが恭一宅に来る前に、

部屋の中をガチガチに掃除機をかけ、今ヶ瀬の痕跡を消そうとする恭一。

たまきと一緒に選んだであろうカーテンを、届いてから1週間も放置してまるで興味を示さず、

たまきが料理を作っていても窓の外を眺めて上の空(上目遣いがむちゃくちゃかわいいことは言うまでもないです)

 

また、戸棚に灰皿と共にタバコとジッポを置き、マーキングをしている今ヶ瀬。

そんなこれみよがしなアイテムを見つけてしまう、さすがに気の毒なたまき(笑)

 

何者かの痕跡に違和感を覚えたたまきが、今日は泊まらないと告げると、

食器は俺が片付けるからもういいよ。と撤収を要請してくる(笑)そして、たまきが洗ってるところを横入りして水道の蛇口を止める恭一(笑)最悪すぎて震えたwwww

そしてなんなら、ここのト書きがアドリブなのではないかと思うと併せて恐怖wwww

 

"もうええって、はよ帰れや"

を匂わせる引き出しが自然に出たのだとしたら、リアリティに対して最高に興奮する←

 

そして、ちゃんと自分の目でバスに乗ったかどうか確認すべく見送って、その足で車で待機している今ヶ瀬を呼びに行く(さいあく)

窓コツコツやって、「いくぞっ!」て召集かける恭一、雄感が滲み出てたし、必殺仕事人の目をしてた←

 

 

このあと、この映画最大の濡れ場シーンがやってくるわけですが、

…むっっちゃ濃厚(さい&こう)!!!

 

なんて言うか…

全行程フルコースのような???(自重)

これまで今ヶ瀬にはわりと奉仕されっぱなしだった恭一からの…手厚いもてなし(せいいっぱいの濁し)

 

たくさん愛しあった後(言い方)、今ヶ瀬の手の甲に指を絡める形で手を重ねる恭一。

お顔もさることながら、指先まで美しい…

 

疲弊のあまりか、壁に寄りかかりアンニュイな顔をしながら、

「一緒に暮らそう?」

と提案する恭一。

大して好きでもない婚約者との関係を精算させてでも、今ヶ瀬と過ごしたいという恭一の申し出にうろたえる今ヶ瀬。

 

「おまえはなんなわけ?恋愛にジタバタもがくだけのような歳でもないだろ、お互い。」

 

「別れるんですか?うそだ。いつ?」

などと問答をして、翌朝目覚めると今ヶ瀬は居なくなっていて。

 

 

細かい理屈や世間体に囚われすぎず、一緒に過ごし、問題に向き合いながらも、いまこの一瞬一瞬をたのしもうという思いの恭一。

 

それに対して今ヶ瀬は、婚約者がいる恭一がその環境を捨てて、自分を1番手に据え置く未来が想像し難かったのかな。

1番手に居続けたいけれど、居続けられるはずもないからせめて2番手として少しでも側に居たいという儚い矛盾を抱えているかのよう。

 

独占したい気持ちと同じくらい、自分には叶うはずのないと夢だという自信のなさを持ち合わせていて。

例外の存在であるという認識は同じはずなのに、お互いがお互いのニーズに応えられるのかどうか自信がなくてここぞという時にボタンのかけ間違いをしてしまう2人。

 

 

婚約者のたまきちゃんに別れを告げにいく恭一。

「前の人が戻ってきたから」

「前の人と結婚をするわけではないけど、難しい道でも、向き合っていきたいから」

 

自分が2番手だと気づいていたけれど、それでも良いから結婚してほしいたまき。

 

最初はそのつもりだったと白状し、「それでもどうしようもなく前の人が忘れられないからごめん。」と、トドメをさす恭一。

 

いや、シンプルに、2番手に置き続けるつもりだった宣言、最悪すぎる(笑)

 

「なんでなにも言わないの?優しい言葉かけようと考えてるの?わたしのこと嫌いになったって言えばいいじゃないですか」

と、最後の最後にやっと思ってたことを言えたたまき。

 

嫌いになったって宣告されることなく、心ここにあらずな態度され続け、君は2番手ですと宣告されるの、気の毒すぎて…。

序盤から2番手でも構わないスタンスだったから、そこ足元すくわれたよね、恭一に(笑)

寂しさの穴につけいるのは戦法でもあっただろうけど、埋めきれられなかった場合ただただ惨めでつらいな…。

 

1番手になることに自信がなくて、2番手でもいいから、隙あらばそばに置いて欲しいという考えという点では、今ヶ瀬とたまきは、ある意味そこの感覚は似ていたのかもしれない。

 

 

全く減ってない、恭一のコーヒーとたまきの紅茶が映るカットで場面が切り替わるのも、ふたりの交わらなさが現れていたように感じました。

 

 

今ヶ瀬が帰ってくる日のために、灰皿を洗って待ってあげようとする恭一。

受け身ばかりの人付き合いばかりしてきたけれど、初めて自分から、自分の意思で向き合いたくなった。

見返りはどうであれ、今ヶ瀬を想うことに時間を費やしたくなった恭一。

 

チーズの夢をみた窮鼠は、今ヶ瀬であり、恭一でもあったのかな、なんて思います。

お互いチーズの夢をみているはずなのに、うまく噛み合わないものですよね。

タイミングって大事なんですよね。

でもなんとなくですけど、この2人は、これから先もくっついたり離れたりを繰り返しながらこの人たちの恋愛を楽しんでいくのかなと思いました。

お別れではなくて。

エンドが決まっているわけでもなく、今後の展開に含みがあるのもまたオシャレで好きでした。

 

 

そして最後に、いつも今ヶ瀬が座っていたハイチェアに座ってみる恭一。

 

ここの大倉くん、めちゃくちゃかわいい。

マスコットかと思った。

風に吹かれ揺れるカーテン、差し込む日の光、ハイチェアに座る大倉くん。

ラストカットにふさわしいあまりに美しいト書き。もはや絵画かと思った。

大倉くんのおしりのサイズ的に、ハイチェアの上で脚を立てる方はできなかったという裏エピソード含め愛おしさが満点。

 

メイキングDVDでは、ハイチェアで脚を立てようとして「おれおしりおっきいからできひん〜ッハッハッハ」となる大倉くんを入れてくださると信じておりますのでよろしくお願いします(土下座)

 

 

さいごに、

主観この上ない、とりとめのない文章を読んでいただきありがとうございました(笑)

 

また、このような素敵な作品を制作してくれた方々、大倉くんにオファーしてくださった監督、そして、難しい役どころに挑んでくれた大倉くん!みなさんに感謝です!!

 

これからも大倉くんにたくさん演技のお仕事のオファーがありますように!!!